CRM・MA乗り換えで「良いツールを選んだのに失敗する」企業に共通する判断のズレとは

「ツールを変えれば解決する」という思い込みが、再構築を失敗させる

CRM(顧客関係管理)やMA(マーケティングオートメーション)を運用していて、施策の実行に時間がかかる、データがうまく活用できない、やりたいことがツールの制約で実現できない——そうした課題を感じる場面が増えていませんか。

実際、既存のシステムに限界を感じ、より高機能なプラットフォームへの移行を検討する企業は増えています。支援の現場でも、こうした再構築の相談が増える中で、Brazeのようなカスタマーエンゲージメントプラットフォームが検討対象に挙がるケースを多く見かけます

一方で、導入支援の現場を見ていると、ある共通した傾向が見えてきます。

「良いツールを選んだはずなのに、うまくいかない」企業が少なくありません。

その原因は、ツール自体の問題ではありません。多くの場合、乗り換えに至るまでの「判断のズレ」や「整理不足」が、導入後の停滞を招いています

この記事では、CRM・MAの乗り換えや再構築を検討している方に向けて、「このまま進めて大丈夫か?」を確認するための視点を整理します。

目次

「ツール変更」と「設計変更」を混同している

乗り換えは「入れ替え」ではなく「再設計」である

乗り換えを検討する際、多くの企業が陥りやすいのが「ツールを変えれば課題が解決する」という思い込みです。

一方で、ツール自体に限界があるケースはあります。アーキテクチャ(システムの基本設計)が古く、リアルタイムな対応ができない。チャネルごとに別のツールを使わなければならず、統合的な施策が打てない。こうした構造的な制約は、ツールを変えることでしか解消できません。

しかし、ツールを変えただけでは解決しない課題も多く存在します。

たとえば、「データが活用できていない」という課題。これは、ツールの問題ではなく、どのデータを、どう整理して、どう使うかという設計の問題であることが少なくありません。新しいツールに移行しても、データの整理ができていなければ、同じ課題が再現されます。

「施策の実行に時間がかかる」という課題も同様です。ツールの操作性が原因である場合もありますが、承認フローが複雑であったりチーム間の連携が取れていかったりすることが、本当の原因であるケースもあります。

乗り換えを「ツールの入れ替え」と捉えると、こうした本質的な課題が見過ごされます。再構築とは、ツール変更ではなく、顧客との向き合い方そのものを再設計することだと捉える必要があります。

Brazeが「設計変更」を前提としている理由

Brazeのようなカスタマーエンゲージメントプラットフォームは、この「設計変更」を前提として作られています。

従来のMAが「メール配信の自動化」から出発したのに対し、Brazeは「顧客の行動をリアルタイムで捉え、複数チャネルで一貫した体験を提供する」という思想で設計されています。つまり、顧客中心のデータモデルと、それを活かす運用設計がセットで求められるツールです。

この設計思想は強力ですが、逆に言えば、既存の設計をそのまま持ち込んでも機能しないということでもあります。「今の施策をそのまま新しいツールで動かしたい」というアプローチでは、Brazeの設計思想が活きにくくなります。

「今の延長」で進めると、複雑さが再生産される

既存システムの「負債」を棚卸ししているか

長年運用してきたCRM・MAには、多くの「負債」が蓄積しています

使われなくなったキャンペーン、目的が不明確なデータ項目、誰も触れなくなった自動化フロー——こうしたものが、システムの中に残り続けています。乗り換えの際にこれらを棚卸しせず、「今あるものをそのまま移行する」というアプローチを取ると、負債ごと新しいシステムに引っ越すことになります。

支援現場でも、「移行対象のキャンペーンをリストアップしたところ、実際に稼働しているものは半分以下だった」というケースは珍しくありません。棚卸しをせずに移行を進めると、移行工数が膨らむだけでなく、新しい環境でも「何がどうなっているのか分からない」状態が再現されます。

部分最適の積み重ねが全体を複雑にする

もう一つ注意すべきなのが、部分最適の積み重ねです。

「とりあえずこのキャンペーンだけ先に移行する」「このデータ連携は後から考える」といった判断は、短期的には合理的に見えます。しかし、全体設計がないまま部分的に進めると、後から整合性が取れなくなり、かえって複雑さが増すことがあります。

たとえば、チャネルごとに異なる設計で移行を進めた結果、「メールとプッシュ通知で顧客の識別方法が異なる」といった事態が起きることがあります。後から統合しようとしても、手戻りが発生し、工数が膨らみます。

再構築では、全体像を先に描いたうえで、優先順位をつけて進めることが重要です。

組織・体制の整理が後回しになっている

「誰が運用するのか」が決まっていない

ツール選定に意識が向きすぎると、見落とされがちなのが運用体制の問題です。

「このツールは良さそう」「機能が豊富」——そうした評価は重要ですが、最終的に成果を出すのはツールを使う人です。誰が施策を設計し、誰がキャンペーンを実行し、誰が効果を検証するのか。この役割分担が明確でないまま導入を進めると、「ツールはあるが、誰も触っていない」という状態に陥ります。

特に注意が必要なのが、マーケティングチームとIT・エンジニアリングチームの連携です。データ連携やシステム統合はIT側の協力が不可欠ですが、「IT部門が忙しくて対応できない」「マーケティング側の要件が曖昧でITが動けない」といった状況は、再構築プロジェクトでよく見られます。

意思決定者が明確でないと、プロジェクトが止まる

再構築プロジェクトでは、複数の部門にまたがる判断が必要になります。データの持ち方、チャネルの優先順位、移行のタイミング——こうした判断を誰が下すのかが明確でないと、プロジェクトは停滞します。

「関係者全員の合意を取ってから進める」という進め方は、一見すると丁寧に見えますが、合意形成に時間がかかりすぎて、いつまでも前に進まないケースがあります。

再構築を成功させるためには、判断を下せる責任者を明確にし、その人がプロジェクトを推進する体制を整えることが必要です。

このまま進めると失敗しやすいサイン——自己診断チェックリスト

ここまでの内容を踏まえ、「このまま乗り換え・再構築を進めて大丈夫か?」を確認するためのチェックリストを用意しました。

これは「正解を示す」ものではありません。当てはまる項目が多いほど、一度立ち止まって整理する価値があるという目安として使ってください。

課題認識に関するサイン

  • 「なぜ乗り換えるのか」を聞かれたとき、「今のツールに不満があるから」以上の説明ができない
  • 解決したい課題が、ツールの問題なのか、運用・体制の問題なのか、切り分けられていない
  • 「新しいツールを入れれば何かが変わる」という漠然とした期待で検討を進めている

データ・システムに関するサイン

  • 今のシステムで稼働しているキャンペーンや自動化を、正確にリストアップできない
  • 「とりあえず今あるデータをそのまま移行する」という方針で進めようとしている
  • データの整理・統合よりも、ツールの機能比較に時間を使っている

体制・意思決定に関するサイン

  • 再構築プロジェクトの責任者が明確でない、または兼務で時間が取れない
  • マーケティングとIT/エンジニアリングの間で、要件や役割分担が曖昧なまま進めている
  • 「関係者全員の合意を取ってから」という方針で、判断が先送りになっている

タイミング・優先度に関するサイン

  • 既存ツールの契約終了が迫っており、十分な検討期間が取れない
  • 他のプロジェクト(アプリ刷新、データ基盤移行など)と同時並行で、リソースが分散している
  • 繁忙期と移行時期が重なるスケジュールになっている

これらのサインに複数当てはまる場合、乗り換えそのものを止める必要はありませんが、進め方を見直す価値があると言えます。「ツール選定」の前に、課題の整理、体制の確認、データの棚卸しを行うことで、移行後の遠回りを減らし、成功に近づけやすくなります

再構築を「成功」に近づけるための視点

進めるべき企業の特徴と、注意点

ここまで「失敗しやすいサイン」を中心に整理してきましたが、もちろん再構築を進めるべきタイミングも存在します。

既存システムの構造的な限界に直面している

リアルタイム対応ができない、チャネル統合ができない、といった課題が明確にある場合、運用改善では解決できません。ただし、「構造的な限界」と「使いこなせていないだけ」を混同しないよう、冷静な評価が必要です。

顧客体験の向上が経営課題になっている

「顧客との関係を深めたい」「LTV(顧客生涯価値)を高めたい」といった課題が経営レベルで認識されている場合、再構築は戦略的投資として正当化しやすくなります。ただし、KPI(重要業績評価指標)が曖昧なまま進めると、「何をもって成功とするか」が後から揉める原因になります。

データ基盤の刷新と連動して進められる

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)やデータウェアハウスへの投資を進めている企業は、その流れの中でエンゲージメント基盤も刷新するチャンスです。Brazeのようなプラットフォームは、こうしたモダンなデータ基盤との連携を前提に設計されており、相性が良い組み合わせになります。ただし、「データ基盤が整ってから」と待ちすぎると、いつまでも着手できないリスクもあります。

まだ急がなくてもよい企業の特徴

一方で、以下のような状況にある場合は、再構築を急がず、まず整理から始めることをお勧めします。

既存システムで十分な成果が出ている

「なんとなく不満がある」程度であれば、移行コストに見合う改善が得られない可能性があります。現状の課題を定量的に把握してから判断しても遅くありません。

運用体制や意思決定者が不明確

ツールを入れ替えても、運用する人がいなければ成果は出ません。「導入したが誰も使わなくなった」という事態を避けるためにも、体制整備を先行させることが重要です。

顧客データの整理がこれからの段階

ツールを変えても、活用できるデータがなければ施策は空回りします。「ツールを入れればデータが整う」という期待は、多くの場合裏切られます。

再構築は「ツール導入」ではなく「設計からの見直し」である

乗り換え・再構築を検討する際、どうしても「どのツールを選ぶか」に意識が向きがちです。しかし、この記事で整理してきたように、ツール選定の前に整理すべきことが数多くあります。

  • 解決したい課題は何か、それはツールの問題か運用の問題か
  • 既存のシステム・データ・キャンペーンは棚卸しできているか
  • 運用体制と意思決定者は明確になっているか
  • 全体設計があるか、部分最適で進めようとしていないか

これらの問いに明確に答えられる状態で進めれば、再構築の成功確率は格段に上がります。逆に、これらが曖昧なまま「良いツールを選べば何とかなる」と進めてしまうと、導入後に苦労するリスクが高まります

Brazeは「顧客の行動を起点に、リアルタイムで、複数チャネルを横断してコミュニケーションを取る」という思想で設計されたプラットフォームです。この設計思想が活きるのは、顧客中心の体験設計という全体像が描けている企業です。

再構築を「ツール導入プロジェクト」ではなく、「顧客との向き合い方を再設計するプロジェクト」と捉え直すことそれが、失敗を避け、成果につなげるための第一歩になります。

判断に迷ったときの相談先として

SORAMICHIでは、Braze導入を「ツールを入れる」ことではなく、設計から運用まで一貫して支援することと捉えています。

「乗り換えを検討しているが、このまま進めて大丈夫か不安」「課題の整理から手伝ってほしい」——そうしたご相談も歓迎です。導入を前提としたご相談でなくても構いません。まずは状況を整理するところから、お手伝いできます。

SORAMICHI

Braze導入支援・活用

エンゲージメント向上に直結する施策設計を支援します

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