売れなかった営業マンが“お客様との信頼関係”を再建し、営業成績をアップさせた10の秘訣
突然ですが、みなさんは営業マンとしてお客様の満足度を高められている実感はありますか?
「成績が良い営業マンは、お客様からの信頼が厚い」などとは耳にするものの、お客様の企業規模や事業部の編成、その中でも連携する担当者やチームの年代や性格などによって、関係構築が一筋縄にはいかずに悩んでいる…なんて方も多いのではないでしょうか。
この記事では、
「お客様のニーズをうまく引き出せない…」
「担当者の言いなりになってしまい、自分の提案を通せない」
といったような悩みを抱えた営業マンに向けて、お客様との関係をスムーズに構築し、持続させていくためのポイントを伝授したいと思います。ここでお伝えする内容は、すべて筆者自身が地道に営業をしていく中で、効果的だった経験を元にまとめました。
お客様との関係構築でお悩みの方の参考になれれば幸いです。
営業において“信頼関係”が大切な理由
そもそも、なぜ営業において信頼関係が大切なのでしょうか?
個々での言動を振り返る前に、この前提について考えてみましょう。
私が思うに、お客様は「どんなものを買うか」と商品やサービスの機能面だけに期待をしているというよりも、「“誰から”どんなものを買うか」ということに、まず焦点を当てていると考えるからです。
どんなに商品やサービスが優れていても、売り手である営業マンに対する不信感が少しでもあれば、「大金を支払ったり、大型の契約を取り付けてまで買いたい」という気持ちにはなかなかなりませんよね。
「せっかく買うなら、この営業マンから買いたい」と思ってもらえるようになるには、まずお客様に信頼してもらうことが最重要だと言っても過言ではないのです。
信頼される営業マンになるための10のポイント
冒頭からたびたび、信頼を得ることの重要性を説いてきましたが、とはいえ、
「信頼関係ってどう築いていくものなの…?」
という疑問を抱いた方もいるのではないでしょうか?
ここからは、お客様との関係構築において重要なポイントを【準備編】【態度編】【習慣編】の3つのパートに分けて解説してみたいと思います。
【準備編】お客様についての下調べは、徹底的に!
恋愛や就職活動に置き換えて考えてみても同様のことが言えると思うのですが、アプローチする相手について全く無知な状態では、相手を動かすようなアタックはできませんよね。
そこでまず、関係構築の第一歩として「お客様について知る」ための準備の心得をお伝えしたいと思います。
①お客様(企業への)理解を深める
何かを知ろうとするときに、みなさんはどこから調べていくでしょうか?
多くの場合、大きな事柄から小さな事柄に向けて、視点をどんどん深めていきますよね。
お客様について知る過程においても同様で、担当者(もしくは担当部署/チーム)が所属する組織全体についての知識を深めておくことは必須です。
どんな企業なのか、どんなビジネスモデルなのか、もっと言うとそもそもどんな傾向のある業界なのかなどの基本情報は、当たり前に押さえておきましょう。
業界について知る手立てがないという方には、技術評論社が発行している『図解即戦力』シリーズや業界新聞に目を通すことをおすすめします。
また、お客様の業界のトップシェアを占める企業がどこなのか知っておくことは重要です。
これらを把握すると、お客様のどんなニーズにでも柔軟に対応できる、アイデアの引き出しを増やすことができます。
②お客様のチームについて知る
企業について十分に知ることができれば、必ず良い結果が出せるでしょうか?
実は、そうとは限りません。
お客様のチームの体制や決裁者を把握しておくことも大切です。
なぜなら、決裁フロー(現場から決裁までの流れ)や決裁者が重要視しているポイントを理解していないと、
「現場では手応えがあったにもかかわらず、最終的に提案を通すことはできなかった」
というような残念な結果に終わってしまうことも考えられるからです。
実際に、お客様と決裁者の重要視するポイントが異なる場合は当たり前のようにあります。
そこで、
- チームはどのように分けられているのか
- 何名でチームを動かしているのか
- 担当者をどのように決定しているのか
などといったチームの体制を把握することで、お客様のチームに合った提案をすることが可能になります。
③お客様の業務、優先順位を知る
お客様のタスクと優先順位を把握することも重要です。
なぜなら、お客様の業務優先順位によって、提案の方向性やコミュニケーションコスト(情報伝達や意思疎通をはかる際に要する時間や労力のこと)の配分が変わってくるからです。
それらを見誤ることで、熱量の違いや認識の齟齬を生んでしまう場合があります。
これは、お客様からの不信感に繋がってしまうかもしれません。
こうしたリスクを避けるためにも、お客様の業務内容やそれらの優先順位について、できる限り細かく把握できるように努めていきましょう。
④お客様の営業成績を知る
お客様(この記事においては、個人やチームに関わらず)の営業成績も知っておく必要がありますが、それはなぜなのでしょうか?
答えは、「掲げた目標を達成できる」「社内での評価が上がる」などといったメリットを感じてもらえることができれば、提案が通る可能性が高くなるからです。
お客様の成績をきちんと把握し、KPI(重要業績評価指標:組織の目標達成の過程における達成度合いをはかる指標)と具体的な目標値なども念頭に置いた上で、そこに寄り添ったアプローチをしましょう。
提案力が上がるだけでなく、お客様のモチベーションを上げることにも繋がっていきそうですよね。
【態度編】営業マンとして、信頼される印象を与えるために
知識を増やして準備が整ったら、次は実際にお客様にお会いした際に心がけるポイントについてご紹介していきたいと思います。
⑤常にお客様の視点に立った言動を心がける
こちらからの売りたい気持ちが先行してしまうと、
どうしても自分側のことばかり話してしまう…
なんてこともあるかもしれません。
もしも、自分がお客様の立場ならどう感じるでしょうか?
一方的なアプローチばかりが続いてしまうと、こちら側からの要求を蔑ろにされている気がしてしまいますよね。
営業マンとしてのコミュニケーションで最も大切なのは、“お客様の目線に立って考えること”なのです。
そのためには、お客様のことを知る必要があるため、事前準備編が活きてくるのです。
お客様の理解をより深めるためには、こちら側がお客様に興味を持って接し、適切な質問を繰り返すことによってニーズを引き出し、事前に準備した情報とすり合わせていくことが求められます。
⑥お客様が安心できる雰囲気を作る
お客様とのコミュニケーションの中で取りこぼしがないように、ふとしたやり取りの中でも「こんなことも考えていて〜」とお客様から言いやすくなるような雰囲気作りを心がけるのが重要です。
固い雰囲気の中で発言をするのは、お客様にとっても自分自身にとっても心理的負担があると思うので、リラックスした雰囲気を作るために、こちらから先に笑顔を見せることが大切です。
そうすることで、話しやすいムードを作っていくことができます。緊張した顔の相手と話すのは、こちらも緊張してしまいます。
逆に、相手が笑顔であれば安心して話しやすくなると思います。
的確な提案ももちろん重要ですが、心理面からのアプローチも、信頼関係を築いていく上でとても大切なのです。
⑦お客様(担当者)の名前を小出しにする
心理学的に、人が耳にして最も気持ちよい音、聞き取りやすい言葉は“自分の名前”であると言われています。
騒がしい場所であっても、遠くで自分の名前を呼ばれたらすぐに反応できるという方も多いのではないでしょうか?
これは、「カクテルパーティー効果」と言って、たくさんの音の中から自分にとって必要な情報を脳が無意識に選択する現象のことを表します。
この効果を利用して、お客様の名前を呼ぶことを心がけることで、好意を持ってもらいやすい環境を作りましょう。
また、チャットワークの際であっても、文頭にお客様の名前を入れることで同じような効果を期待することができます。お客様の名前を呼ぶというのは、笑顔を見せるのと同様に難しいテクニックを必要としません。
普段から心がけ、少しずつ取り入れてみてはいかがでしょうか?
【習慣編】お客様との関係性をさらに深める心がけとは?
事前準備を徹底し、ようやく関係を築けるようになってきたお客様との間柄をより強固なものにしていくために、普段から心がけていきたいポイントについてご紹介します。
⑧お客様の“期待以上”を常に目指す
営業マンの自分にとっては「100%の力で提案した…」と感じている仕事も、継続していくうちに、相手にとってはだんだんと当たり前になってしまうものです。
そんな状態が続くと、「最近、新しい提案をもらっていない」などと不満の声が募ったり、「別の会社に変えた方が良い」なんて考えを持たれることもあるかもしれません。
常に自分なりにお客様の期待以上を目指し、お客様に驚いてもらえるものを提供しようと意識し続けることも、とても大切な習慣なのです。
関係性を深める際には、常にお客様の期待値を把握したり調整し、期待値を超え続ける意識を持つことが重要な鍵となります。
⑨インプットに励み、自分の武器を磨いていく
お客様に選ばれ続けるためには、信頼して任せてもらいやすい人柄に加え、自身の市場価値をアップデートしていくことが重要です。
そのために必要なのは、自分の武器となるものを磨いたり、増やしていくことなのです。
みなさんは、ビジネスの世界において、3つの武器(スキルやナレッジ、特定の得意分野)を掛け合わせることが推奨されているのをご存知でしょうか?
1つの武器で戦うよりも、3つのものを掛け合わせることで希少性が高まり、競争する人数が一気に減るという理由からおすすめされています。
自分に合った武器を作るために、常にインプットを滞らせない習慣を身につけましょう。
⑩振られたタスクに、優先順位をつける
お客様から次々と要望が舞い込んできた場合、どう対応するのが得策でしょうか?
目の前にあることから、手当たり次第に処理していませんか?
両手いっぱいに仕事を抱えている時には、優先順位をつけることで円滑に回していくことができます。
お客様への対応を適切なタイミングで行うためにも、自分の評価を下げてしまわないためにも、プロジェクト全体を俯瞰する力を養っていくことが求められるでしょう。
しかし、優先順位のつけ方がわからないという方のために、以下にタスクマネジメントの流れとポイントをまとめたいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
タスクマネジメントの流れとポイント
1.タスクをすべて洗い出して一覧にする。
タスクを洗い出す際には、「◯◯を◯◯する」と記載します。
具体的に記載することでイメージしやすくなります。
2.担当者(WHO)と期限(WHEN)をリスト化する。
洗い出したタスクを、誰が、いつまでに実施するのかをリスト化します。
この時、期限には実施にかかる期間ではなく、工数(何時間かかるか)を記載します。
3.優先順位をつける。
優先順位をつけるために、クリティカルパス(プロジェクトを達成するために必要なタスクを割り出す効率的なプロジェクト管理のツール)で管理することをおすすめします。
優先的に対応しないとプロジェクト全体に影響を与えてしまうようなタスクを可視化して見つけることができます。
4.メンバーに依頼する。
メンバーに依頼する際には、プロジェクトの背景を説明しましょう。
共通認識を作ることで、タスクが単なる作業になってしまうことを防ぎます。そうすることで、自然と生産性が上がっていくことが期待できます。
また、メンバーの得手不得手を把握しておくことも重要です。
誰に何を依頼するか適切に組むことができればメンバーのモチベーションにも繋がっていきます。
5.定期的に振り返る。
振り返りをする際には、
- K(良かったこと)
- P(問題点)
- T(次に実施すること)
に視点を置いて実施します。
振り返りをすることで改善点が見え、確実に次につなげていくことができます。このように優先順位をつけると、見落としなく効率的に仕事をこなすことができそうです。
仕事が多くなって途方にくれた時には、まず優先順位をつけることを覚えておいてくださいね。
営業マンとして信頼を得るためのポイントまとめ
これまで、お客様との関係を構築する上で大事なポイントについてあれこれご紹介してきましたが、すべてに一貫して言えることは、そもそも「お客様のことを本気で思って向き合うことが大切」だということです。
ここでご紹介したポイントをまるっと一度に実践することは難しいかもしれませんが、お客様の心の中で最初に思い浮かべてもらえる営業マンになれるよう、日々少しずつ取り入れて実践してみてください。
今回の記事を通じて、みなさんの営業力が高まり、担当しているお客様との関係がより良いものになることを願っています。