cookie規制でマーケティングはどう変わる?後編 ー今さら聞けないITPとは?ー
近年、Webマーケティングの世界に変革が起きています。2020年3月に個人情報保護法の改正案が閣議決定されたことで、より広く知られることとなったcookie規制。前編では、cookieに関する一般的な知識や規制の背景、Webマーケティングに与える影響の全体像を紹介しました。
後編では、Google、Appleなど各社の規制の違いや、ITP(Intelligent Tracking Prevention)などの用語解説、具体的な対策方法まで紹介します。
Google、Appleなど各社の規制の違い
cookieはWebサイト訪問者の情報を一時的にブラウザ上に保存するための仕組みであるため、各ブラウザで規制の内容が異なります。
日本における2021年5月のシェア率は、Chrome(Google)とSafari(Apple)だけで全体の80%以上のシェアを占めています。
従って、cookie規制を考える際には、大方この二つのブラウザの規制を気にすれば良いでしょう。
Safari(Apple)のプライバシー保護機能「ITP」とは?
Appleは2017年9月にユーザーのプライバシー保護を目的として、iOS11からブラウザ「Safari」のトラッキング防止機能「ITP(Intelligent Tracking Prevention)1.0」を発表、実装しました。
アップデートを重ねており、iOS14以降は3rd party cookieは完全にブロックされ、1st party cookieは24時間でリセットされてしまいます。
また、IDFA(Identifier for Advertisers)のデフォルトの設定が「不可」の状態になりました。IDFAとは、Appleがユーザー端末にランダムに割り当てるIDです。広告主はこのIDを使うことで広告エンゲージメントやアプリ内のユーザー行動を計測し、カスタマイズした広告を配信することができていました。
今回の規制によって、ユーザーがIDFAの設定を「不可」の状態から変更しない限り、IDFAから情報を取得することはできなくなりました。
Chrome(Google)のcookie規制
GoogleはAppleの後を追う形で、2020年1月に「2年以内にChromeでの3rd party cookieの廃止」を公表しました。
しかし、2021年6月に続報があり、「エコシステム全体で取り組みを正しく進めるため、さらなる時間が必要」との理由で、3rd party cookieの完全終了は2023年後半まで延期することを公表しました。
いずれにせよ、cookielessへの動きが進むため、cookieに頼らないマーケティングが求められます。
ITPの規制でWebマーケティングはどう変わる?
リターゲティング広告配信が不自由に
リターゲティング広告は、cookieを活用して一度サイトを訪問したユーザーに対して配信される広告です。現在、1st party cookieを24時間しか利用できないため、サイト訪問後の24時間以内しかリターゲティング広告を表示できなくなりました。
当然、cookieを活用したリターゲティング広告の活用シーンは以前より減ることになるでしょう。
オーディエンスターゲティング広告にも支障
オーディエンスターゲティング広告とは、「広告枠」に対して広告配信をするのではなく、サイト訪問履歴や商品購入履歴、おおよその年齢や性別など、ユーザーのデータに基づいて「人」に対して配信する方法です。
オーディエンスターゲティングでは、cookieやIDFAから情報を取得しているため、規制により取得できる情報量が減ってしまうと分析精度が低下します。
ITPに対する解決策を紹介
cookielessによって、Webマーケティングの概念が根本から変わることになります。
cookieによって追跡が容易にできた従来型のマーケティングでは、見込み顧客に対してリターゲティングをかけることが重視されていました。
しかし、cookielessにより追跡が難しくなってきたことで、見込み顧客への広告アプローチではなく、一般消費者から顧客に至るまでの育成(ナーチャリング)の必要性が増し、脱リターゲティングの広告運用、オウンドメディアでの顧客情報の管理・分析、ソーシャルメディアの活用などが重要になっていくでしょう。
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