【入札戦略】目標コンバージョン単価の挙動とは?コンバージョン最大化との違いは?
Web広告運用をはじめて、多くの人にとって最初の壁となるのが「入札価格の決定」です。そして、成果を上げるためにも、入札戦略は重要なポイントとなります。
そのためには、目的にあった入札戦略を選ぶことはもちろん、その入札戦略はどのような仕組みで配信されているのか、十分に理解する必要があります。
本記事では、企業の広告運用担当者や入札戦略について勉強している方に、入札戦略の中でもっとも出番が多いと思われる「目標コンバージョン単価」の特徴や挙動について説明します。
また、「コンバージョン数の最大化」との違いについても説明します。
目標コンバージョン単価とは
目標コンバージョン単価とは、限られた予算内で、コンバージョンを最大化させたい時に推奨される自動入札戦略です。
なお、媒体によっては「コンバージョン数の最大化 (目標コンバージョン単価を設定する) 」という入札戦略が存在しますが、目標コンバージョン単価と同じ扱いになります。
目標コンバージョン単価の仕組み
目標コンバージョン単価は、目標としたコンバージョン単価から逆算して入札価格(≒クリック単価)が決まります。
目標コンバージョン単価 = クリック単価 ÷ コンバージョン率
どのように逆算して入札価格を決めているのかを具体的に説明します。
コンバージョン単価は上記の計算で導けるので、広告を配信するユーザーのコンバージョン率を予測することができれば、クリック単価の上限が自動的に決まります。肝となるコンバージョン率の予測には、実際にコンバージョンした際のデータ(シグナル)を使います。
例として、検索広告では下記のようなシグナルが用いられています。
- 年齢
- 性別
- 曜日と時間帯
- ブラウザ
- OS
- サイトの訪問履歴 などなど
このように、広告を配信するユーザーのコンバージョン率を予測し、入札価格を調整することで、効率のいい広告配信が可能となります。
目標コンバージョン単価で注意すべきこと
目標コンバージョン単価を決める際に、注意したいことが3つあります。
①:日予算と目標コンバージョン単価
実際に広告配信をする際は、1日の平均予算と目標コンバージョン単価を設定します。ここで注意すべき点は、1日の平均予算は入札にまったく関係しないということです。
例えば、1日あたり10万円分の広告を配信したいと考え、平均予算を10万円と設定しても、意図通りに広告は配信されません。
上記でも説明した通り、目標コンバージョン単価に基づいて入札が調整されるため、目標コンバージョン単価を調整する必要があるからです。
そのため、1日あたり10万円分の広告を配信したい場合は、過去の配信実績とその時に設定していた目標コンバージョン単価を踏まえて、目標コンバージョン単価を調整する必要があります。
②:広告やキーワードの調整
コンバージョン単価が高いと、広告やキーワードを停止した方がいいかと考えてしまいますが、それは必ずしも得策とはいえません。
その理由は、目標コンバージョン単価で運用していれば、広告やキーワードなどのあらゆるものが、目標コンバージョン単価を達成できるように調整されるからです。
例えば、目標コンバージョン単価が10,000円に対して、実績のコンバージョン単価が15,000円のキーワードがあったとします。
その場合、目標値から離れているため、入札を抑制するなどの調整が自動で行われます。もちろん広告も同じです。
そのため、CPAが高いからといって、必ずしも停止する必要はありません。
ただし、下記のような場合は、この限りではありません。
- コンバージョン数が少なく、機械学習が進みにくいと考えられる場合
- 予算が限られているなどの理由で、コンバージョン単価の改善が求められている場合
③:入札単価調整
Googleの自動入札には、下記のようにサポートされていない入札単価調整が多数存在します。
Google広告ヘルプ「入札単価調整について」
サポートされていない入札単価調整が存在する理由は、自動で調整が行われるので、手動で調整する必要がないためだと考えられます。
なお、サポートはされていませんが、設定はできるため気を付けましょう。
コンバージョン数の最大化とは
名前からして、コンバージョン数を最大化させたい時に使用すべき入札戦略と思われがちですが、それは誤りです。
正解は、コンバージョン重視で最適化して、予算を使い切りたい場合に推奨される自動入札戦略のことです。
なお、媒体によっては「コンバージョン数の最大化 (目標値を指定しない) 」という入札戦略が存在しますが、コンバージョン数の最大化と同じ扱いになります。
コンバージョン数の最大化の仕組み
コンバージョン数の最大化は、コンバージョンは重視されるものの、予算を使い切ることを最優先に広告を配信する仕組みになっているため、1日あたりの予算から逆算して配信が行われます。
また、予算を確実に使い切るために、入札をやや高く調整して配信が行われがちで、獲得効率は目標コンバージョンに劣る傾向があります。
目標コンバージョン単価との違い
ここまでの説明をまとめると、目標コンバージョンとコンバージョン数の最大化の違いは、大きく2つあります。
1つ目は入札に影響を与える設定内容、2つ目はターゲットの厳選についてです。
1.入札に大きく影響する設定内容
目標コンバージョン単価の場合、1日あたりの予算と目標コンバージョン単価を設定できますが、入札に影響するのは目標コンバージョン単価のみです。
そのため、1日あたり10万円分の広告を配信したい場合は、配信実績と設定している目標コンバージョン単価を踏まえつつ、目標コンバージョン単価を調整する必要があります。
一方、コンバージョン数の最大化であれば、1日あたり10万円分の広告を配信したい場合は、1日あたりの予算を10万円に設定するだけです。
2.ターゲットの厳選
あくまでもイメージになりますが、目標コンバージョン単価とコンバージョン数の最大化では、下記のような違いがあります。
■サイト訪問から24時間以内のユーザーに対する広告配信
・サイト訪問1時間以内のユーザーは平均コンバージョン率(CVR)が5.0%
・サイト訪問1時間以上~6時間以内のユーザーは平均コンバージョン率(CVR)が2.5%
・サイト訪問6時間以上~24時間以内のユーザーは平均コンバージョン率(CVR)が1.0%
■サイト訪問から24時間以内のユーザーに対する広告配信
サイト訪問からの経過時間 | 平均コンバージョン率(CVR) |
1時間以内のユーザー | 5.0% |
1時間以上~6時間以内 | 2.5% |
6時間以上~24時間以内 | 1.0% |
例として、次のようなケースを考えてみましょう。
入札戦略が目標コンバージョン単価の時は2,500円と設定する。
入札戦略を目標コンバージョン単価とした場合、下記の図のように、平均コンバージョン率に応じて、入札価格(CPC)を調整して配信します。
このようにすることで、どんなユーザーに対しても目標とする2,500円のコンバージョン単価を達成できます。
一方で、コンバージョン数の最大化は、予算を使い切ることを最優先に考えるため、目標コンバージョン単価のように、平均コンバージョン率に応じて入札価格(CPC)を調整する必要はありません。
Web広告では、ユーザーが広告を配信できるサービスを利用していないと広告を配信できないため、可能な限り広告配信できるチャンスを逃さないように入札価格(CPC)を調整します。
そのため、目標コンバージョン単価よりも、入札価格(CPC)が高くなる傾向にあります。
まとめ
今回は、目標コンバージョン単価とコンバージョン数の最大化について、それぞれの特徴や違いを説明しました。
最初に述べた通り、入札戦略は目標達成に大きく影響する要素です。
それぞれの特徴や違いを理解した上で、広告配信にチャレンジしてください。
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